滋賀県高島市今津、大通りから少し入ったところにあるレンガ造りのクラフトビール醸造所「びわ湖ブルワリー」。
発酵タンク4基、貯酒タンク8基とクラフトビールのブルワリーの中では大きな規模を誇る。6種類の個性を際立たせたビールが徐々に評判を呼び、小売りチェーンや大手旅行会社からの問い合わせが続いている。
びわ湖ブルワリーがオープンしたのはコロナ禍の真っただ中、2021年の夏だった。
「外出規制、観光客が激減した厳しい時期だったが、念願のビールづくりを計画通りに始めたかった」と話すのは、びわ湖ブルワリーのオーナー、牧野幸日さん（65歳）。

「ああ、うまい！能書きはなくていい、ビールはただおいしかったらいい」（笑）
目を細めながら冷えたビールで喉を潤す。若いころから大のビール好きだった牧野さんは、大阪で異業種に携わるかたわら、ビールの本場ドイツ、アメリカのほか、国内のあらゆる地ビールを飲み歩いた。60代になり“好きなことをやりたい”とビール工場とビアホールを立ち上げた。選んだ地は、かつて働いたことがあった琵琶湖北西部。
「琵琶湖の水がどこからきているか知っていますか。琵琶湖の水の3分の1はここ高島から。ここじゃなかったら挑戦しなかった」。
発泡酒はなく全種類が本格的なビール。スタンダードなペールエールをはじめ、ラガーのようなケルシュ、フルーティーなヴァイツェン、コーヒーのような香りが特徴の黒ビール・スタウト、濃厚で深いコクのあるアルト、そして高島のボイセンベリーを取り入れたアドベリーの6種類。「ビールはヨーロッパが先進国。ドイツ産の麦芽にアメリカ産の麦芽をバランスよく混ぜ、自分が旨いと思った味をじっくり研究し、突き詰めた。日本人に合う最高のレシピができた」。
水源の地の豊かな水と牧野さんのこだわりが掛け合わされたビールは、瞬く間に評判が広まっている。

「びわ湖ビール」の料金は、一般のクラフトビールに比べ破格の1本440円（税込）。“おいしいビールにはおいしい料理を”と、ビアホールでは、枝豆やキムチなどのおつまみのほか、近江牛のステーキや焼肉重、ハンバーグやから揚げ、高島名物のとんちゃん焼きなど多彩なメニューが驚くほどリーズナブルに提供されている。原材料の高騰が続いているが「広く皆さんに楽しんでもらいたい。ビールでも料理でも安くておいしいのが最高でしょう？もちろん正直かなり苦しい。だが、行けるところまで行く」と牧野さんは笑う。
今後の夢とは？との問いに「沖縄の地ビールと言えば“オリオンビール”。滋賀の地ビールといえば“びわ湖ビール”と言ってもらえるようになれたら。自然豊かな高島にはいいところがいっぱいある。全国にびわ湖ビールの名が通れば、地元にも貢献できる」。牧野さんの挑戦は続く。

・平和堂今津店：滋賀県高島市今津町今津1688
・平和堂安曇川店：滋賀県高島市安曇川町西万木55
・アル・プラザ彦根：滋賀県彦根市大東町2-28
・道の駅 マキノ追坂峠：滋賀県高島市マキノ町海津897-27
・道の駅 妹子の郷：滋賀県大津市和邇中528
・たかしま・まるごと百貨店：滋賀県高島市新旭町旭1丁目10-1 1階
・くつき温泉てんくう： 滋賀県高島市朽木柏341-3
・有限会社二ツ屋：滋賀県大津市木戸175-4
・福井市之進商店：滋賀県高島市勝野1398
・近鉄百貨店草津店：滋賀県草津市渋川1丁目1-50