芋焼酎特有の香りは控えめですっきりとした味わい。水割りやソーダ割りもいいが、風味とまろやかな口当たりを堪能できるロックがおすすめ。
近江八幡・堀切港から琵琶湖の沖合約1.5kmに浮かぶ小さな有人島・沖島。古くから琵琶湖の航行を守る“神の島”と伝えられ、島の祖先は源氏の落人7人。港を囲む漁船、浜のギリギリに建つ古い家並みが、昭和時代を思い起こす。まるでこの島だけ時の流れがゆっくりと進んでいるかのようだ。
芋焼酎“沖の雫”は、沖島で栽培されたサツマイモ「紅あずま」だけを使って蒸留された。
琵琶湖に浮かぶ沖島の紅あずまを100%使った芋焼酎「沖の雫」。滋賀県のふるさと納税返礼品に選定され、県内の道の駅などで人気を集めるこの焼酎は、近江八幡市出身の福井和彦さんによって生み出された。
福井さんは現役時代、知人による紹介で3社の企業を渡り歩いてきた。2012年、50歳を迎える頃、「これからの人生、自分で考えた事業に取り組んでみたい」と脱サラを決意。地元・近江八幡に目を向け、沖島を訪れた。
「そこに広がるのは、幼少期を思い起こす日本の“原風景”だった」と福井さん。沖島の島民は、90%以上が琵琶湖の漁業に従事し、畑で野菜を栽培する半農半漁の暮らしを営む。高齢化が進み、人口減少に歯止めがかからないこの島の何か役に立てないか。福井さんの挑戦がスタートした。
福井さんは、漁協の女性たち “湖島婦貴(ことぶき)の会”による沖島の郷土料理を食べたところ、おいしかったサツマイモに注目。島で栽培されるこの食用サツマイモ・紅あずまを使った焼酎づくりを企画した。2014年には活動団体“おきしま倶楽部”を創設、弟と2人で沖島の人里離れた耕作放棄地の開墾を始めた。乾燥した硬い砂地、ゴロゴロと出てくる大きな石、約1000平米を人力で耕すのは苦労の連続だったという。それでも2015年には約2トンもの紅あずまを初収穫、老舗酒造メーカー・太田酒造(滋賀県草津市)の協力のもと、芋焼酎“沖の雫”を商品化した。
翌年以降は、畑が猪の被害に遭って苗が全滅するなど、トラブルに見舞われることも。害獣対策を講じても、別の課題が出るなど、材料の紅あずまの安定供給が難しくなると、沖島の人たちから紅あずまを購入して焼酎づくりを継続している。
沖島の名前を冠したお酒づくりで県内外に沖島の存在をPRすると共に、材料購入で沖島経済を潤す一助に。「少しでも沖島の明るい未来につなげられたら」と福井さん。
“沖の雫”は、沖島の酒屋のほか、県内の道の駅などで購入できる。また、福井さんが経営する近江八幡市内の“ほりかふぇ”では、近江牛や鮒ずしなど郷土料理をつまみにして“沖の雫”を楽しむことができる。今年は地元のブルワリーと沖島産・紅あずまを使ったクラフトビールを醸造し、ほりかふぇで提供予定とのこと。沖島への関心を呼び起こす、さらなるきっかけにつなげていく。
・ほりかふぇ:滋賀県近江八幡市多賀町743
・西居酒店:滋賀県近江八幡市沖島268-1
・湖の駅浜大津:滋賀県大津市浜町2番1号
・湖の駅滋賀竜王:滋賀県蒲生郡竜王町大字薬師寺砂山1178-694三井アウトレットパーク滋賀竜王内
・彦根みやげ本陣:滋賀県彦根市佐和町1-8 彦根キャッスルリゾート&スパ1F
・黒壁五號館 黒壁AMISU:滋賀県長浜市元浜町8-16
住所 | 滋賀県近江八幡市多賀町743 |
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TEL | 0748-26-3375 |
WEB | https://okishima.org/ |
店舗情報 | ※ほりかふぇで「沖の雫」を注文できるほか、店内お土産コーナーで「沖の雫」の購入可 ※ほりかふぇ定休日/水曜日 その他、臨時休業日あり。HPをチェック |