強い日差しと琵琶湖岸の風をイメージしてつくられたビール。 やさしくフルーティーな香り、のどごし良く、後味はすっきり爽やか。 青い空、焼け付く太陽のもと、キンキンに冷やした ドリンカブルなビールで夏を満喫しよう。
琵琶湖のほど近く、荒神山の麓に広がる田園地帯に木造平屋の建物。玄関側はヨシ葺きの壁、琵琶湖を望む明るい木の店内、特徴的な屋根からは自然の風が循環する。ここ彦根麦酒・荒神山醸造所は、立ち上げから一年を迎えた。
沼地を埋め立てたこの地の活用方法について、20年にもおよぶ検討の末、考え出されたのが、彦根初となる“クラフトビール醸造所”だった。地元・石寺町在住の大学教授を中心にまちづくりを担う地域の人々、彦根市にある一般企業の出資。彦根麦酒・荒神山醸造所は、たくさんの人々の想いと協力で誕生した。
現在、ビールの種類は定番品5種と限定品5種の計10種類で過去最多のラインナップ。「味わいの多様性と飲みやすさを重視しています。敷地内で麦やホップを生産し、いずれは“100%地元産”を叶え、地域に愛されるブルワリーになれたら」と話すのは、ビール醸造責任者の小島なぎささん。福井県出身の小島さんは滋賀県立大学を卒業後、石寺町のまちづくりに参画、醸造所の立ち上げに際し自らビールづくりに手を挙げた。
また営業ディレクターを務めるのは、彦根市出身の豊村美久さん。他県で営業職に就いていた豊村さんは、地元がおもしろい試みをスタートさせ、それが自身も大好きなビール醸造と知り帰郷。ここに来て、土地・建物・味・人々、何もかもに魅了され、「私もやりたい」そんな熱い思いから仲間に加わった。「太陽が降り注ぐテラスで、琵琶湖を眺めながらこだわりの詰まった彦根ビールを飲んでみてほしい。ここで飲むからこそ実感できる味わいがあります」と豊村さん。
立ち上げからコロナで影響を受けたが、季節ごとの限定品のリリースや週末のキッチンカーの招致などで、遠方からも訪れる人が増え、盛り上がりをみせる。ようやく1年。2人の女性たちを軸に、地域に根差したビール醸造はますます進化を続け、地元はもちろん、滋賀県内外、そしていずれは海外へと夢をつないでいく。