正反対の製法を融合 全国でも数少ない日本酒「山廃純米吟醸」 【2021年全国燗酒コンテスト プレミアム燗酒部門金賞受賞】 日本酒生産量がピークを迎えた昭和40年代、多くの蔵元が短期で手軽につくれる「速醸仕込」にシフトするなか、美冨久は手間暇と熟練技の要る「山廃仕込」にこだわった。 創業以来守り継いだ伝統製法と現代技術を組み合わせた日本酒は、美冨久ならではの奥深い味わいを生み出している。
甲賀市水口で大正6年から続く美冨久酒造。酒米の新米が届き始める10月末から春先まで1年分の酒の仕込みに追われる。
水は軟水で発酵しやすい鈴鹿山系の伏流水、米は酒米の祖「渡船」(滋賀県在来種)から連なる山田錦や吟吹雪。そして日本酒づくりに欠かせない酒母は、100年以上前から使われてきた酒母蔵に棲む天然乳酸菌からじっくり時間をかけてつくり出す。
取締役の村田 正さんは「酒母、水、麹、蒸した米を発酵させるタンクは、昭和33~36年ころのもの。わずかな条件で味に違いが出るため、タンクによって味も変わる」と話す。1本のタンクにできるお酒は一番大きな仕込みで約5000ℓ、現在は多品種・小仕込みが主流とのこと。
若い人にも日本酒を身近に感じてもらおうと、看板商品の山廃仕込シリーズのほか、四代目当主・藤居範行さんが立ち上げた、口当たりがソフトな銘柄「三連星」、お酒が強くない人にも試してもらいやすいスパークリングや低アルコール清酒、梅酒、甘酒などもラインナップ。インターンシップの学生がつくったお酒のラベルのデザインを採用すると、学生や学校からも喜ばれ、地域貢献の一助にもつながっている。
日本酒の出荷が減り、各地を巡る営業活動やイベントの自粛が続いたコロナ禍。そんな中、四代目は新たな取り組みに挑戦した。
今年9月、敷地内の古い蔵を改装し、カフェ「薫蔵~KAGURA~(かぐら)」をオープン。落ち着きのある空間で、蔵元に伝わる粕汁や酒米3種のおにぎり食べ比べができるランチプレートのほか、甘酒パフェやソフト、酒粕のスイーツなどが楽しめる。
また、蔵元に気軽に足を運んでもらうために始めた「酒蔵見学」(予約制)や「試飲」も緊急事態宣言明けから再開。変わらぬ伝統、時代に合わせた取り組み。
美冨久酒造では日本酒ファンを増やすための果敢な挑戦が続いている。
住所 | 〒528-0025 滋賀県 甲賀市水口町西林口3-2 |
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TEL | 0748-62-1113 |
WEB | https://mifuku.co.jp |
営業時間 | ホームページをご覧ください |
定休日 | ホームページをご覧ください |