喜多酒造の酒づくりの源は、良質の水。 敷地内の自家井戸からくみ上げられる、鈴鹿山系のやわらかな水は、 1820年の創業から200年以上にわたり、 この土地ならではの「たおやかな」味を支え続ける。 若き次期9代目が担う、喜楽長の酒づくりとは。
酒づくりが進む1月。タンクで呼吸する醪(もろみ)を見つめながら、やさしく櫂入れをするのは蔵元の次期9代目・喜多麻優子さん。麹、蒸米、水を加えたものを発酵させてつくり出した醪は、日本酒として搾り出されるその日まで、タンクの中で発酵を重ねる。
自家井戸からくみ上げる良質な水、滋賀県内の契約農家を中心にこだわり抜いた酒米を自家精米。厳選された材料をそろえ、入念な下準備を施す。「お米にどのくらいの水分量を含ませるのかという、お米洗いの段階から味が変わってくる」と話す麻優子さん。喜楽長の味を守る蔵人たちによって、4月まで酒づくりが続く。
麻優子さんは3人きょうだいの長女。200年以上前から受け継がれる酒蔵で酒づくりを見て育ち、中学生くらいの頃から「この神聖な酒蔵を残したい。喜楽長のお酒づくりを生涯の仕事に」と考えていたとのこと。2015年からは杜氏に教わりながら一人の蔵人として技術を磨いた。ねらい通りに水を含ませた米と対話する麹づくりでは、「喜楽長らしい、ふっくらとした上品な甘みを持ったお酒になるように麹をつくり込みます」。米と麹菌を揉み混ぜ合わせる塩梅、麹室の温度や湿度の微量な調整、酒の味を左右する麹づくりでは神経を研ぎ澄ませる。
「お酒をわが子のごとく…という言葉を味とラベルで表現した、“純米大吟醸 愛おし”や“大吟醸 敬いし”は喜楽長の良さを味わえる思い入れのあるお酒。私が変えようもない伝統の良さをベースに、“やわらかさ”や“しなやかさ”といったチャレンジを加え、喜楽長の“たおやかさ”を突き詰めていきたい」。
“飲む人が喜び、楽しくお酒を飲みながら長生きできるように”との思いから命名された喜楽長。この思いは、子どものころから酒づくりに喜びと楽しみを見出す麻優子さんによって、確かに次代に受け継がれる。
住所 | 〒527-0054東近江市池田町1129 |
---|---|
TEL | 0748-22-2505 |
WEB | https://kirakucho.com/ |
営業時間 | HP参照 |
定休日 | HP参照 |