濃厚で骨太、どっしりとした味わいの吟吹雪・山廃仕込み。 コクとキレ、まろやかな甘みと上品さ、渡船二号・生酛仕込み生原酒。 地元農家と自社田の酒米を手間暇かけた製法で醸す「大治郎」は、まさに“地の酒”。
10月から3月まで続く畑酒造(東近江市小脇町)の日本酒造り。この日は製麹(せいぎく)と呼ばれる麹造り。立ち昇る湯気、朝の凛とした空気の中、米の蒸し上がりと同時に蔵人たちが小気味よく作業を進める。人肌ほどに冷ました蒸米は、31℃に保たれた麹室へ。蒸米を平にならし、蔵元杜氏が種麹を散布する。山のように蒸米を盛り上げ、布で包んで温度と湿度を保って発酵を促し、時間を置いてまた広げて揉みほぐす。でき上がるまでに3日はかかる麹造りは、酒造りの要とされている。
畑酒造が日本酒造りに使う米はすべて滋賀県産。5軒ある地元契約農家(呑百笑の会)の米と2010年から始めた自社田の米。「県外にも品質のいい酒米はたくさんあるが、うちは作る人の顔が見えることを大事にしている。作り手の想いがわかる米は、名高い酒造好適米も凌駕する」と畑酒造4代目蔵元・畑大治郎さん。
畑酒造の酒造りは1914年(大正3年)から。創業時は量り売りや壺売りをする小さな規模だった。以降、時代を経て製造量を増やし、先代までは、能登杜氏による酒造りが行われていた。その能登杜氏に10年にわたり日本酒造りを教わった4代目は、自ら蔵元杜氏となり、それまでのメインブランドだった「喜量能(きりょうよし)」とは別のブランドを立ち上げた。創業者の名前であり、自らの名前を冠した“大治郎”ブランドだ。これまで畑酒造で行っていなかった自然の乳酸菌を取り込む山廃仕込みを始め、さらに生酛仕込みにも挑戦。
「 “大治郎”は力強く、骨太。ザ・日本酒という味わいが好きな方に好まれています」と妻の久美子さん。整然と美しい店先、商品PR、繁忙期の瓶詰やラベル貼りなど、4代目や蔵人たちが酒造りに打ち込めるようサポートし、二人三脚で酒造を切り盛りする。
「晩酌をしない、酒離れなど、飲酒人口が減少している。しかし純米系のこだわりのある酒や個性的な酒は伸びている。若い人にも飲んでもらえるような酒、日本酒のおいしさを伝えていけたら」と話す4代目。そんな想いの一環として参加した大阪の酒販店の企画。京阪神に住む19歳の若者たちに田植えや稲刈り、酒の仕込みを体験してもらい、20歳になったら仕込んだ酒を皆で乾杯する “19歳の酒”企画を13年間続けている。
酒造りの道具は蔵元自ら手作りし、維持管理。なるべくすべてに目が届くようにと、年間生産は小規模の230石。材料に信念を持ち、一つひとつの工程に惜しみなく手間をかける畑酒造の酒は、幅広い世代に愛される滋賀を代表する銘酒として名を連ねている。
・こいずみ:滋賀県東近江市青葉町228-5
・志賀熊商店:滋賀県東近江市札の辻1丁目5-7
・大桝屋:滋賀県東近江市山上町447
・リカーズ・サンク:滋賀県蒲生郡日野町内池486-5
・ヤマガタヤリカー:滋賀県彦根市銀座町6-7
・中野酒店:滋賀県草津市大路1-6-17
・きただ酒店:滋賀県栗東市北中小路3
・鷲田酒店:滋賀県守山市中町118
・加藤酒店:滋賀県大津市木下町13-1
・小川酒店:滋賀県大津市浜大津2丁目1-31
・よしの:滋賀県大津市松原町18-19
・ときわや酒店:滋賀県大津市あかね町2-12
・酒のさかえや:滋賀県近江八幡市為心町上5
・(株)酒のかなざわ: 滋賀県草津市追分町8-16-14
・はしもとや:滋賀県長浜市神照町847
・さざなみ酒店:滋賀県彦根市佐和町10-4
・酒酎屋:滋賀県守山市今宿2丁目11-18
・(有)二ツ屋: 滋賀県大津市木戸175−4
・かねなか酒店:長浜市元浜町33-5
住所 | 滋賀県東近江市小脇町1410 |
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TEL | 0748-22-0332 |
WEB | http://daijirou.jp/index.html |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 水曜日 |